BG(バランシンググループ)とは?発電BG・需要BGの違い、BG親・BG子の仕組みを解説

電力業界で仕事をしていると、「BG」という言葉を耳にすることがあります。

BGとは「バランシンググループ(Balancing Group)」の略称です。

特に、発電事業や小売電気事業、電力の需給管理に携わる方にとって、BGは欠かせない仕組みです。

しかし、初めて電力業界に関わる方にとっては、次のような疑問があるのではないでしょうか。

  • BGとは、そもそも何のために存在するのか?
  • 発電BGと需要BGは何が違うのか?
  • BG親・BG子とは、どのような関係なのか?
  • 複数の事業者でBGを組むと、どのようなメリットがあるのか?

この記事では、BGの基本的な仕組みから、計画値同時同量制度との関係、BG親・BG子の役割、インバランスの計算例まで解説します。

1. BG(バランシンググループ)とは?

BG(バランシンググループ)とは、電力の計画値同時同量制度において、発電量や需要量の計画と実績の差(インバランス)を管理・算定する単位となるグループです。

日本の電力制度では、発電側と需要側が、それぞれ計画値と実績値を一致させることを基本としています。

しかし、実際の発電量や需要量を完全に予測することは困難です。

例えば、小売電気事業者が、ある30分間の需要量を100MWhと予測して電力を調達していたとします。

ところが、実際の需要量が110MWhになった場合、10MWhの電力が不足します。

このような計画と実績の差が「インバランス」です。

BGは、このインバランスを管理・算定するための単位となります。

BGは複数の事業者で構成することもできる

BGは、必ずしも複数の事業者で構成しなければならないわけではありません。

1社でBGを構成することも、複数の事業者が集まってBGを構成することもできます。

複数の事業者が同じBGに参加すると、各社の需要予測や発電予測の誤差が、グループ内で相殺される場合があります。

例えば、ある事業者の需要が計画より増え、別の事業者の需要が計画より減った場合、BG全体では計画と実績の差が小さくなる可能性があります。

これが、複数事業者でBGを構成する大きなメリットの一つです。

ただし、発電BGと需要BGは別の仕組みであり、発電側の余剰と需要側の不足を同一BG内で直接相殺するものではありません。

2. BGと計画値同時同量制度の関係

BGを理解するには、まず「計画値同時同量制度」を知る必要があります。

計画値同時同量制度とは?

電力は、需要と供給のバランスを常に維持する必要があります。

電力の供給量と需要量が大きく乖離すると、周波数が変動し、電力系統の安定運用に影響を与えるためです。

日本では、発電事業者や小売電気事業者などが、原則として30分単位で発電・需要・調達などの計画を作成し、提出する仕組みが採用されています。

1日は24時間なので、30分単位では48コマに分かれます。

各事業者は、所定の期限までに計画を提出し、その計画に沿った発電・調達・供給を目指します。

計画値と実績値がずれた場合はどうなる?

実際の発電量や需要量が計画と一致しなかった場合、差分はインバランスとして扱われます。

電力系統全体で生じる過不足は、一般送配電事業者が調整力などを用いて調整します。

そして、発生したインバランスについては、制度に基づく料金精算が行われます。

ここで重要なのが、インバランスは原則としてBG単位で算定されるという点です。

例えば、同じBGに所属する複数の小売電気事業者の需要予測誤差が逆方向に発生した場合、BG全体のインバランスは、個々の予測誤差を合計した値になります。

なお、実務ではBGごとの計画作成に加えて、広域機関システムへの計画提出、一般送配電事業者との契約・精算などが必要です。

計画提出の詳細については、電力広域的運営推進機関(OCCTO)の公式資料で確認できます。

3. 発電BGと需要BGの違い

比較発電BG需要BG
管理対象発電計画と発電実績需要・調達計画と需要実績
代表的な参加者発電事業者小売電気事業者
共通点計画値同時同量と精算に対応計画値同時同量と精算に対応

BGには、大きく分けて「発電BG」と「需要BG」の2種類があります。

両者は、対象となる電力量と契約の仕組みが異なります。

比較項目

発電BG

需要BG

対象

発電設備からの発電量

小売電気事業者の需要・調達

主な構成者

発電者

小売電気事業者

関係する契約

発電量調整供給契約

接続供給契約

主な計画

発電販売計画

需要調達計画

インバランス

発電計画と発電実績の差

調達計画と需要実績の差など

主な管理業務

発電量予測・発電計画管理

需要予測・電力調達・需給管理

発電BGとは?

発電BGは、発電所を保有する発電者などによって構成されるグループです。

例えば、次のような発電所があるとします。

  • A発電所:LNG火力発電所
  • B発電所:太陽光発電所
  • C発電所:水力発電所

これらの発電所を所定の条件の下で同じ発電BGにまとめることで、BG単位で発電計画と実績を管理できます。

発電BGの代表となる発電契約者は、一般送配電事業者との間で発電量調整供給契約を締結します。

また、一つの発電量調整供給契約の下に、複数の発電BGを設けることも可能です。

ただし、すべての発電所を自由に同じBGへまとめられるわけではありません。

例えば、BGは供給エリア内で構成する必要があり、調整用電源の取り扱いなどにもルールがあります。

詳しくはOCCTOの発電事業者向けスタートアップガイドで確認できます。

需要BGとは?

需要BGは、小売電気事業者が構成するグループです。

例えば、次の3社があるとします。

  • 小売A社:家庭向けに電気を販売
  • 小売B社:商業施設向けに電気を販売
  • 小売C社:工場向けに電気を販売

3社が同じ需要BGに参加すると、グループ全体の需要予測や電力調達を一括して管理することができます。

需要BGでは、複数の小売電気事業者が一般送配電事業者との間で一つの接続供給契約を締結し、その中から代表契約者を選定する仕組みが採られます。

代表契約者が需給管理やインバランス精算に関する事務を取りまとめることで、参加事業者の業務負担を軽減できる場合があります。

4. BG親・BG子とは?代表契約者の役割

図1 BG親とBG子の関係(概念図)
図1 BG親とBG子の関係(概念図)

複数の事業者がBGを構成する場合、よく使われるのが「BG親」「BG子」という言葉です。

一般的に、BGの代表契約者を「BG親」、参加するその他の事業者を「BG子」と呼びます。

ここでは、需要BGを例に説明します。

BG親とは?

BG親は、需要BGの代表契約者として、グループ全体の需給管理や各種事務を取りまとめる事業者です。

具体的な業務には、次のようなものがあります。

  • BG全体の需要予測
  • 電力調達計画の作成
  • 広域機関への計画提出に関する業務
  • インバランス料金の精算事務
  • BG子との費用精算
  • 需給管理に必要なデータの収集・管理

実際にどこまでの業務をBG親が担当するかは、BG内の契約条件によって異なります。

BG子とは?

BG子は、BGに参加する小売電気事業者のうち、代表契約者以外の事業者です。

BG子は、自社で需要予測や調達計画の作成を行う場合もあれば、BG親に業務を委託する場合もあります。

例えば、小規模な小売電気事業者にとって、24時間の需給管理体制や専門人材を自社だけで確保することは、負担になる場合があります。

そのような場合、BG親が提供する需給管理サービスを利用することで、業務の効率化が期待できます。

BG親とBG子の契約関係

需要BGでは、BG親だけが一般送配電事業者と契約し、BG子は契約当事者にならない、という理解は正確ではありません。

複数の小売電気事業者で需要BGを構成する場合、各小売電気事業者は、複数者名義の接続供給契約の当事者となります。

そのうえで、代表契約者が計画値同時同量への対応事務やインバランス料金の精算事務などを取りまとめます。

また、BG親とBG子の間では、需給管理業務の委託契約に加え、卸電力供給契約が締結されることもあります。

ここで重要なのは、BG親に業務を委託しても、BG子が小売電気事業者として負う法令上の義務はなくならないということです。

例えば、供給能力確保義務、需要家への説明義務、苦情処理義務などは、BG子自身が引き続き果たす必要があります。

BG親への業務委託は、業務の実施方法を効率化する仕組みであり、小売電気事業者としての責任を移転する仕組みではありません。

参考:資源エネルギー庁「需要バランシンググループについて」

5. BGを組むとインバランスはどう変わる?具体的な計算例

図2 BG内での需要予測誤差の相殺(仮定値)
図2 BG内での需要予測誤差の相殺(仮定値)

ここからは、複数の小売電気事業者が同じ需要BGを構成した場合に、インバランスがどのように変化するかを計算してみましょう。

ケース①:各社が別々のBGを構成する場合

小売A社と小売B社が、それぞれ独立したBGを構成しているとします。

ある30分コマの需要計画と実績が次のとおりだったとします。

項目

小売A社

小売B社

需要計画

100MWh

100MWh

需要実績

110MWh

92MWh

計画と実績の差

+10MWh

−8MWh

ここでは「需要実績-需要計画」を差分として表しています。

A社は需要が計画より10MWh多く、調達量が計画どおりであれば10MWhの不足インバランスが発生します。

一方、B社は需要が計画より8MWh少ないため、8MWhの余剰インバランスが発生します。

両社が別々のBGに所属している場合、それぞれのBGでインバランスが算定されます。

ケース②:A社とB社が同じBGを構成する場合

項目A社B社BG合計
需要計画100MWh100MWh200MWh
需要実績110MWh92MWh202MWh
実績−計画+10MWh−8MWh+2MWh

では、A社とB社が同じ需要BGに所属していたらどうなるでしょうか。

項目

A社

B社

BG全体

需要計画

100MWh

100MWh

200MWh

需要実績

110MWh

92MWh

202MWh

差分

+10MWh

−8MWh

+2MWh

BG全体では、

110MWh+92MWh=202MWh

となります。

一方、BG全体の需要計画は、

100MWh+100MWh=200MWh

です。

したがって、BG全体の計画と実績の差は、

202MWh-200MWh=2MWh

となります。

調達計画が需要計画と一致していると仮定すれば、BG全体の不足インバランスは2MWhです。

各社の予測誤差が逆方向に発生したため、BG内で8MWh分が相殺されたことになります。

インバランス精算額はどう変わる?

仮に、この30分コマのインバランス料金単価を20円/kWhとします。

まず、各社が別々のBGに所属している場合です。

A社の不足インバランス精算額は、

10,000kWh × 20円/kWh = 20万円の支払い

B社の余剰インバランス精算額は、

8,000kWh × 20円/kWh = 16万円の受け取り

となります。

両社の精算額を合算すると、差し引き4万円の支払いです。

一方、同じBGを構成している場合、BG全体の不足インバランスは2MWhなので、

2,000kWh × 20円/kWh = 4万円の支払い

となります。

この例では、別々のBGの場合と同じ合計精算額です。

つまり、BG内でインバランス量が相殺されることと、精算額が必ず減少することは同じではありません。

今回のように、同じ30分コマ・同じエリア・同じインバランス料金単価を仮定すると、精算額の合計は一致します。

一方、実務上のBG参加メリットには、インバランス量の集約に加えて、予測精度の向上、調達・需給管理の効率化、業務委託費用、BG内の精算条件などが関係します。

BGの経済的なメリットを評価する際には、単純なインバランス量だけでなく、こうした要素を含めて検討する必要があります。

なお、上記は仕組みを説明するための単純化した計算例です。実際のインバランス精算では、適用される料金制度や契約条件などを確認してください。

6. BGに参加するメリット・デメリット

複数の事業者でBGを構成することには、さまざまなメリットがあります。

一方、BG親への依存や契約条件など、注意すべき点もあります。

メリット① 需給管理業務を効率化できる

小売電気事業者は、需要予測、調達計画の作成、計画提出など、多くの需給管理業務を行う必要があります。

これらを自社だけで行う場合、専門人材やシステムの確保が必要です。

BG親に一部の業務を委託することで、BG子は需給管理に関する負担を軽減できる場合があります。

メリット② 需要予測誤差を集約できる

複数の小売電気事業者が同じBGに参加すると、各社の需要予測誤差が相殺される場合があります。

例えば、家庭向け需要を中心とする事業者と、工場向け需要を中心とする事業者では、需要変動の特徴が異なることがあります。

そのため、需要特性の異なる事業者を組み合わせることで、BG全体の予測誤差が小さくなる可能性があります。

ただし、各社の予測誤差が同じ方向に発生すれば、相殺効果は期待できません。

メリット③ 電力調達を集約できる

BG親が電力調達を取りまとめる場合、複数の小売電気事業者の需要をまとめて調達できます。

これにより、調達計画の作成や取引業務を効率化できる場合があります。

また、調達規模や契約条件によっては、調達コストの改善につながる可能性もあります。

ただし、必ず調達単価が安くなるわけではありません。

デメリット① BG親への依存が生じる

需給管理や電力調達をBG親に委託すると、BG親のシステムや運用体制に依存することになります。

例えば、BG親のシステム障害や計画提出ミスが発生した場合、BG子の事業運営にも影響が及ぶ可能性があります。

そのため、BG親の需給管理能力や事業継続体制を確認することが重要です。

デメリット② 委託費用や精算条件の確認が必要

BG親に業務を委託する場合、需給管理委託料などが発生することがあります。

また、BG全体で発生したインバランス費用を、BG子にどのように配分するかは重要な契約条件です。

例えば、各社の予測誤差に応じて費用を配分する方式や、一定の手数料を設定する方式などが考えられます。

BGに参加する際には、インバランス費用の配分方法、委託範囲、データ連携方法、契約解除条件などを確認する必要があります。

7. BGとJEPX・インバランス料金の関係

BGの仕組みは、卸電力市場やインバランス料金制度と密接に関係しています。

JEPXとBGの関係

小売電気事業者は、需要家に電気を供給するために、必要な電力を調達する必要があります。

調達方法には、発電事業者との相対契約や、JEPX(日本卸電力取引所)での市場取引などがあります。

例えば、需要BG全体で翌日の需要量を予測し、その一部をJEPXスポット市場で調達することが考えられます。

BG親が調達業務を担う場合には、複数のBG子の需要をまとめて市場調達することもあります。

ただし、JEPXでの取引主体と、BGの契約・インバランス精算主体は必ずしも一致しません。

BGの構成や調達契約に応じて、取引・計画・精算の関係を整理する必要があります。

JEPXの基本的な仕組みについては、関連記事「JEPXとは?電力業界で働く人が知っておきたい仕組みと基礎知識」で解説しています。

インバランス料金とBGの関係

電力を計画どおりに調達していても、実際の需要量が予測からずれれば、インバランスが発生する可能性があります。

このとき、インバランス料金制度に基づいて精算が行われます。

BG親が精算事務を取りまとめる場合、一般送配電事業者との精算に加えて、BG内での費用配分が必要になります。

ここで区別したいのが、次の2つです。

① 一般送配電事業者とのインバランス精算

制度に基づいて行われる精算です。

② BG親とBG子の間の精算

BG内の契約条件に基づいて行われる精算です。

両者は必ずしも同じ単価・計算方法になるとは限りません。

BG子の立場では、一般送配電事業者とのインバランス料金制度だけでなく、BG親との契約条件を理解することも重要です。

インバランス料金の計算方法については、関連記事「インバランス料金とは?仕組み・計算方法・JEPXとの違いを解説」で詳しく解説しています。

8. まとめ|BGは電力の需給管理を支える重要な仕組み

BG(バランシンググループ)は、電力の計画値同時同量制度を支える重要な仕組みです。

この記事のポイントは、次の3つです。

① BGはインバランスを管理・算定する単位

電力の発電量や需要量について、計画値と実績値の差をBG単位で管理・算定します。

② 発電BGと需要BGでは対象や契約が異なる

発電BGは発電量を対象とし、発電量調整供給契約に関係します。

一方、需要BGは小売電気事業者の需要・調達を対象とし、接続供給契約に関係します。

③ BG親・BG子の仕組みにより需給管理の効率化が期待できる

複数の事業者でBGを構成することで、需給管理業務の集約や予測誤差の相殺が可能になります。

ただし、BGに参加すれば必ずインバランス精算額が減るわけではありません。

実際の経済的メリットは、需給管理の効率化、予測精度、電力調達、BG内の精算条件などによって変わります。

BGの仕組みを理解することは、電力の需給管理だけでなく、卸電力取引やインバランス料金制度を理解するうえでも役立ちます。


参考資料・公式情報

※本記事は2026年10月時点の制度・公開資料をもとに作成しています。個別の契約条件や最新の実務手続きについては、関係する一般送配電事業者・広域機関等の公式資料を確認してください。

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